家の相続は親と同居すると有利になる?8つのケースで徹底解説

相続税の基礎控除額が引き下げられたこともあり、相続税の節税方法に注目が集まっています。

その流れで、「小規模宅地等の特例」の存在を知った方も多いのではないしょうか?

小規模宅地等の特例を適用できると家の相続税を大幅に削減することができます!

そこで今回は、小規模宅地等の特例をメインに、親と同居している家を相続した場合の相続税や適用条件について解説していきます。

親が住んでいる家の相続税はどうやって決まる?

家の相続税はどうやって決まる

相続税を計算する際の基準となるのは「原則時価」です。

現預金や上場有価証券類などは把握しやすいですが、家や土地といった不動産となると、場所や地形、個別の事情によって時価が大きく異なってくるので、算定するのが難しくなります。

そこで、国は「路線価」という土地の相続税評価を算定する基準を設けて、毎年1月1日時点の路線価を算定し、7月1日に公表しています。

家の路線価と相続税の関係

土地の相続税評価の基礎となる路線価は、地価と連動しているので、地価が高い大都市圏ほど路線価も高くなります。

そのため、親が大都市圏に家を所有しているだけでも、相続税評価額は数千万円単位になることも珍しくありません。

例えば、200㎡の路線価が1㎡あたり50万円だった場合、自宅敷地の相続税評価額は次のようになります。

計算式
50万円(路線価)✕200㎡(敷地面積)=1億円

仮に、財産が家のみで、相続人が子ども3人と仮定した場合、基礎控除額は次のようになります。

計算式
3,000万円+(600万円✕3人)=4,800万円

つまり、「1億円(家の評価額)-4,800万円(基礎控除額)」で5,200万円の相続税が課せられてしまいます。

このように、親が家を所有しているだけで相続税の課税対象になってしまうケースがあるのです。

親と同居している家を相続したら相続税が8割減額!?

親と同居すると相続税が減額される
相続税が8割もカットされるなんて一体どんな方法なの?
「小規模宅地等の特例」を利用すると実現できるよ!

ただし、小規模宅地等の特例を使うには、いくつかの条件を満たす必要があります。

原則的には、亡くなった親と同居している親族が自宅としていた家に住み続ける場合は、自宅の土地(上限330㎡)の相続税評価額を80%減額できます。

また、この特例の対象となるのは、自宅としていた家を相続する人が「配偶者」「同居していた親族」「持ち家のない親族」のいずれかである必要があります。

さらに、「同居していた親族」が相続する場合は、以下の条件の両方を満たす必要があります。

適用条件
  1. 居住継続条件:被相続人が亡くなる前から相続税の申告期限まで引き続きそこに居住すること
  2. 保有継続条件:その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること

①の相続税の申告期限とは、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヵ月以内です。

なお、配偶者が相続する場合は、これらの条件はありません。

持ち家のない親族が相続する場合は、他にも条件があり、それらを満たす必要があります。

さて、小規模宅地等の特例では、「同居」と認められるかが大きなポイントです。

具体的にどのような場合に同居していると認められるの?
基本的には、亡くなった方と親族が同じ家で寝食をともにしていた場合だよ!

具体的には以下の4つの観点から判断します。

  1. 日常の生活の状況
  2. 家へ入居した目的
  3. 家の構造や設備の状況
  4. 親族が他に生活の拠点となる家を持っているかどうか

思い込みで判断せず、基準と照らし合わせて該当するか確認することが大切です。

8つのケース別に判断!あなたは相続税が減額される?

相続税が減額されるパターン

ここからは、被相続人と相続人の関係でどういった場合が「同居」と認められるのか、具体的に見てきましょう。

イメージがしやすいように、被相続人を「親」、相続人を「子ども」として例示します。

ケース① 親と子どもが一つの家で寝食を共にしていた⇨OK

親と子どもが一つの家で寝食を共にしていた場合は、もちろん同居と認められます。

ケース② 平日は別居、週末に子どもが親の家に帰る⇨NG

このケースだと、親と子どもの生活の拠点がそれぞれある上に、一週間の大半を別々に過ごしています。

基本的に親と子どもで生活の拠点が別の場合は同居とはみなされません。

ケース③ 親と同居していた子どもが家族を残して単身赴任した⇨OK

この場合、親と子どもは一週間の大半を別々に過ごすことになりますが、家族を残しているので、子どもは赴任が終わると帰ってくることが見込まれます。

そのため、子どもの生活の拠点は引き続き親元にあると考えられ、同居していたと認められます。

ケース④ 親と同居していた子どもが親の死亡後に転勤⇨場合によってはNG

親と同居していた子どもが親の死亡後に転勤した場合、同居条件は満たしています。

ここで問題になるのは、「同居の子どもがいつ家を出るか?」です。

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までその家に住んでいる必要があります。

この居住継続条件を満たすか否かで、小規模宅地等の特例を適用できるかが変わってきます。

次の2つのパターンを考えてみましょう!
  • 申告期限までに家族を伴って転居した場合
    居住継続要件を満たしていないため小規模宅地等の特例は適用できません。
  • 家族を残して単身赴任した場合
    生活の拠点が引き続き相続した自宅にあるので小規模宅地等の特例が適用できます。

ケース⑤ 親と子どもが二世帯住宅に住んでいる⇨場合によってはNG

二世帯住宅は、親と子どもの両方のプライバシーを保ちながら同じ家に暮らすことができるのが利点です。

かつては、世帯ごとの区画が完全に分離している場合などは、同居条件を満たさないこともありましたが、近年は二世帯住宅の構造について問われなくなってきています。

二世帯住宅で同居条件を満たすかどうかは、住宅の構造よりも、どのように登記されているかで判断します。

  • 共有登記:同居条件を満たす
  • 区分所有登記:同居条件を満たさない

共有登記とは、一棟の建物について割合を定めて複数人で共有する形態の登記です。

一方、区分所有登記とは、一棟の建物を複数の区分に区切る形態の登記です。

区分所有登記して二世帯住宅に住んでいた場合は同居とはみなされないので注意しましょう!

ケース⑥ 子どもと同居していた親が老人ホームに入居⇨OK

親が介護が必要になり、老人ホームなどの介護施設に入居した場合も、小規模宅地等の特例の対象になります。

この場合、親と同居していた子どもが引き続きその家に住んでいることが必要です。

ですから、親と子どもが別々に暮らしていて、親が老人ホームに入居するのと入れ替わりに子どもが親の家に住み始めた場合などは、同居していたことにはなりません。

この他にも、空いた家を賃貸に出すなど、他の用途に利用した場合も小規模宅地等の特例は適用されません。

ケース⑦ 子どもが家に家族を残して泊まり込みで親の介護をしていた⇨NG

この場合、子どもが親の家に泊まり込んで介護していても、子どもが自宅に家族を残している以上、同居とは認められません。

転勤の場合と同様、子どもの家族が暮らしている家がその子どもの生活の拠点と考えられるので、親と生活の拠点が同じだったとはみなされないのです。

ケース⑧ 子どもがとりあえず住民票だけを親の住所に移した⇨NG

中には、「子どもが住民票を親の住所に移し、形式上は同居しているという状態にすれば条件を満たすことになるのでは?」と考える方もいると思います。

しかし、この場合も、寝食を共にしていないので同居とは認められません。

そもそも、生活の実態なんてどうやって調べるんだろう…?

税務署は、郵便物の配達状況や水道光熱費の負担者など、日常生活の状況を丹念に調べるので、住民票だけ移して形式上は同居していることにしても意味がありません。

相続税対策だけで同居を選ぶのはNG?

相続税対策だけで同居を選ぶのはNG

親が地価の高い場所に家を所有していて暮らしている場合など、家の相続税対策は切実な問題です。

しかし、相続税のことだけを考えて親との同居を選ぶのは本末転倒です。

実際、親と仲違いして、同居していた長男ではなく次男に家を相続させたというケースもあります!

親との同居は、親の介護の問題や嫁姑問題といった現実的な問題をはらみます。

また、財産の分け方の問題も浮上します。

そのため、相続税と小規模宅地等の特例の活用は、「円満な財産相続をするために家族の在り方を家族全員で話し合う一つのきっかけに過ぎない」と考えるようにしましょう。

まとめ

小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、相続人の生活の実態が被相続人との同居に該当するかが問われます。

単身赴任や老人ホームへの入居といった事情であれば同居と認められますが、一時的に一緒に暮らしていた場合や、住民票だけ移すなどの表面的な対策では、同居とは認められません。

特例の適用条件についてよく分からない人は、相続税専門の税理士に相談すると良いでしょう!

また、親との同居は生活環境が大きく変わるケースも多いため、家族間で十分話し合って検討しましょう。

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